競艇って八百長ってあるの⁉競艇選手の八百長事件の今と昔

八百長- その語源は、明治初期に相撲界に出入りしていた八百屋の長兵衛・通称「八百長」が、年寄伊勢ノ海五太夫と碁を打つ際に、忖度して1勝1敗になるよう手加減したことから、わざと実力を出さないことを「八百長」と呼んだのが始まりと言われています。

現在の八百長は、第三者に利益をもたらすために、わざと勝負に負けて結果を操作するというような意味合いが大きくなっています。

競艇においても、八百長によって選手に処分が下されたケースがあります。

競艇界に激震!西川被告「手を染める人間はほかにもいる」

2020年10月21日、名古屋地裁で元・競艇選手の西川昌希被告(当時30歳)が「モーターボート競走法違反」に問われ、判決は懲役3年、追徴3725万円が言い渡されました。

どの世界においても、八百長は超御法度です。真剣勝負が好きなファン達の信頼がなくなってしまい、競艇の場合では舟券の売り上げに大きく影響します。

実際にどのような事件だったのでしょうか。八百長が行われたレースの状況や、真相、西川被告の証言について紹介します。

八百長レースの状況

2019年7月2日の琵琶湖ボートレースで、2号艇に乗った西川被告は1マークでターンする際に大きくアウト側に膨らみ、着順を3着以内に入らないよう手加減した走行を試みました。

しかし、西川被告にとって誤算が起きたのが、4号艇が転覆したのです。レース中の転覆は人命が優先され、転覆した艇の外側をゆっくり走行しなければなりません。

その時点で3着だった西川被告は、他の艇がゆっくり走行するよりも更に遅い超低速度で走行し、順位を4着に下げたのです(残念ながらそのシーン映像には残っていません)。転覆事故後の順位変動などありえないので、八百長の疑いがかかったのです。

実際のレースの動画はこちら。

事件の動機と真相

あくまで見聞きした内容で推測した動機ですが、当時の西川被告は熱狂的なギャンブル好きで、賞金を1日で全部使い切るほどだったそうです。ある時から負けが込んでしまい借金が増えた結果、八百長によって高配当の舟券を作り出すことで大金を得ていたのではないでしょうか。

舟券の購入については親戚に依頼して、1回のレースで300万円を受け取っていたそうです。

八百長が発覚して3か月後、西川被告は体調を理由にして競艇界から引退しましたが、裏では主催者側が引導を渡したのではないかと噂されています。

西川被告の証言

西川被告は、実は判決前にインタビューで競艇界の実態を告白しています。

「ボート界には今も八百長が存在します。俺の不正にも共犯者がいたし、誰が、いつ、どのレースで八百長をしたかも、具体的に証言できます」と他にも八百長を行っている選手の存在を示唆したのです。

2020年11月には自信が執筆した著書では、この八百長騒動に関わることや、自身の生い立ちについて紹介しています。暴力団に所属している親戚の家で「ヤクザの子」として生活していたなど衝撃的な内容を告白しています。

競艇と暴力団 「八百長レーサー」の告白(西川昌希・著)

八百長の巧妙な手口

実は、レースの状況から推察される「イン側の選手がわざと負ける」という単純な手口ではなかったと著書の中で述べています。

西川被告によると『「強い選手でないと八百長が成立しない」とし、【メンバーの実力や人間関係、エンジンの機力や競艇場の特性、天候や水面のコンディション】などあらゆる内容を考慮したうえで、【ある選手を勝たせながら、別の選手の走行を妨害し、自分は3着に入る】には、高度な技術が必要である』としています。

それだけ実力があるのであれば、A1級を目指してSGで優勝することで賞金を稼ぐことを目標にしてほしかったです。しかし、最後には八百長レースを演出することに強い達成感を覚えていたそうです。

モーターボート競走法違反

競艇は、公営競技なので「モーターボート競争法」の下で、国内におけるレース開催、競艇場、開催回数、入場料、払戻金など、競艇に関わる多くの内容が定められています。

今回の八百長事件では、「競争の公正と社会の信頼を著しく侵害した」として、「モーターボート競争法」に違反の罪で判決が出ています。

八百長に関連する「モーターボート競争法」は第72条か75条で、特に72条では競艇選手が賄賂の授受について禁止を定めています。

競艇での八百長は簡単にできるのか

もちろん競艇の主催者側は、競艇選手が八百長ができないように以下の対策をとっています。西川被告は、どのようにその対策を攻略して八百長に手を染めることが出来たのでしょうか。

本来八百長は難しい

前出の「モーターボート競争法」第72条や75条以外でも、第11条では競艇場の職員、競艇選手の投票券購入を禁止しています。

主催側の八百長の対策としては、レース期間中に選手は競艇場に携帯電話などの通信機器を持ち込みを禁止しています。

外部との連絡手段を奪うことで八百長操作を防止していて、これに違反すると長期間の出場停止、もしくは競艇選手としての資格をはく奪されるなどの処罰対象になります。

競艇選手に八百長メリットは少ない

競艇選手の年収は一般サラリーマンと比較すると高く、現役期間も長いので競艇選手でいる間は、そんなにお金に苦労することはないでしょう。一番下のB2級でもサラリーマンの平均年収を上回る約500万円の収入があります。

バレて安定した収入を失うほど、八百長によって得られるメリットは決して多くはありません。

また、SNSや動画投稿サイトの発達により、八百長を疑われるレースは炎上してしまい、追求されるきっかけを与えてしまいます。

西川被告の外部との接触方法

西川被告は八百長を進める際に、舟券の購入を親戚に依頼したとされています。

競艇場の外にいる親戚との連絡手段については、主催者に預けたスマホとは別にスマホを用意して、前日に枠順が決まったのちに親戚に連絡を取ったとされています。

過去の八百長事件

過去の競艇選手が起こした八百長事件、もしくは八百長を疑われた事件について紹介します。

大村競艇 不正プロペラ事件

競艇の最高峰レースSGで優勝経験もある国光秀雄元選手が、戸田競艇所でのレースで突然の失速。その原因は、規定より50gほど軽く加工した不正プロペラを使用して、わざと負けることでレース結果を操作したと疑われました。

国光選手の奥さんが経営していた店で、反社会的勢力の関係者と交際があったとされ、八百長に加担したのではないかと噂されています。

この不正プロペラは、大村競艇に所属する他の選手2名も共有して使用しており、3人が逮捕されたことで事件は収束しています。

通信機器持ち込み事案

2004年、平田忠則選手が通信機能をもつ電子手帳を、選手宿舎に持ち込んだことで1年間の出場停止処分を受けています。しかし、八百長というよりは、奥さんとの連絡手段としてメールを利用していたとのことです。

八百長の事実はないため、1年間の出場停止というのは重い処分ですが、当時は「永久追放にするべき」など批判の声が多出したところをみると、競艇の社会では通信機器の持ち込みは絶対のタブーであることがわかります。

まとめ

過去と現在の八百長事件をみると、両者ともに背後には黒い影の存在があり、社会全体の問題として捉える必要があります。

また、八百長とは言わないまでも、選手間の人間関係などからレース中に真剣勝負ができないケースもあるでしょう。そういった情報を駆使して予想をたてるのも、競艇の一つの醍醐味といえるでしょう。

 

【参考】

競艇に八百長はある?選手が逮捕されたって本当?【実際のレースを検証!】

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