ボートレースには「決まり手」といって、1着をとったレーサーがどのようなレース展開で先行したかを示す表現方法があります。主に、スタートして第1ターンマークを目がけて全速でターンしたときに、他の艇を抑えて先行した課程を表しています。
決まり手は、1着の艇が「何コースからスタート」して「他の艇がどう動いたのか」によって変わってきますし、状況によっては決まりやすいシチュエーションがあります。
ボートレースは最もインコースである1コースが1着になる確率は約50%もありますが、アウトコースであっても「決まり手」がハマれば、大方の予想を覆して高配当の当たりが出ることがあります。「決まり手」は予想をするうえで重要な要素になりますので、抑えておく必要があります。
ボートレースの決まり手「逃げ」
最もインコースでスタートを切った1コースの艇が、第1ターンマークをトップで旋回し、そのまま他の艇に抜かれずに逃げ切れたことを「逃げ」もしくは「イン逃げ」といいます。
1コースの艇は最短距離で走向できるので、ボートレースの決まり手の半数は「逃げ」になります。いわば、ボートレースのセオリー通りの勝ち方になります。
また、「逃げ」は1コースの艇以外には存在しない決まり手です。
「逃げ」効果的なシチュエーション
・スタート時の風向きが追い風の場合、助走距離が短い1コースにとって追い風は加速を後押ししてくれます。
・競争水面が穏やかな場合、レースが荒れにくいので1コースの艇が「逃げ」やすくなります。
・満潮時は水面が高く不安定になるので、加速しながら旋回するのが難しくなり、高速ターンが決まりにくくなるので、「逃げ」の決まり手が多くなります。
・1コースの入着率が高いボートレース場。大村や徳山、芦屋レース場などが該当します。
・冬期は、モーターの出足が強くなり、短い助走距離でも加速が得られるので「逃げ」が決まりやすいくなります。
ボートレースの決まり手「差し」
2コースから6コースでスタートした艇が、第1ターンマークでイン側の艇を先行させた後に、オープンになったイン側のスペースから先行する艇を抜いてトップにたち、そのまま1着でゴールしたときの決まり手を「差し」といいます。
基本的に2コースか3コースの艇の決まり手となることが多いです。
まくりと違うのが、イン側の艇の引き波を越えるので速度が低下します。しかし、他の艇が旋回するより内側を小回りするので、イン側の艇がトップスピードで旋回したり他の艇と競うことで、外側に流れてしまったときには決まりやすいです。
「差し」効果的なシチュエーション
・イン側の艇が旋回時に大きく膨らんでしまうときに「差し」やすくなるため、水質が柔らかい海水だと警戒した方が良いでしょう。
・「差し」のデメリットの引き波を越える際に減速するので、モーターの出足が強いことが条件です。選手コメントでモーターの調子が良いと発言しているときがあるのでチェックしておくと良いでしょう。
ボートレースの決まり手「まくり」
2コースから6コースの艇がスタートダッシュして、トップスピードで第1ターンマークでイン側の艇を外側から抜いてトップにたち、そのまま1着でゴールする決まり手を「まくり」と呼びます。
「まくり」が決まるためには、高速で第1ターンマークに突っ込む度胸、ハンドルを操る高度な技術、一瞬の判断力が必要です。豪快な決まり手になるので、「まくり」が決まった瞬間はファンも熱くなります。
「まくり」効果的なシチュエーション
・向かい風なら助走距離が短いインコースの艇は加速しにくくなり、なおかつ第1ターンマークで旋回するときに向かい風により抵抗を受けて流れにくくなるので「まくり」が決まりやすくなります。
・競争水面が荒れている時も、インコースの艇は加速がつきにくいので、「まくり」が効果的になります。
・イン側の艇の選手のスタートタイミングの数値が低いときは、出遅れを期待できるので「まくり」やすくなります。出走表の「ST」がスタートタイミングの平均値で、0.17以内なら優秀ですがA1級レーサーなら0.15を切る選手も多いです。
・モーターの伸び足が重要なので、出走表の展示タイムを事前にチェックしましょう。
「まくり」が決まったときの2着の傾向
「まくり」が決まると予想した場合、「まくり」が決まった瞬間の状況で2着になる艇も予想しやすくなります。
「まくり」をした艇のイン側の艇は、まくった艇により進路を防がれてしまいます。例えば、3コースの艇がまくった場合、2コースが2着をとる確率は低くなります。
一方、「まくり」をした艇のアウト側の艇は、まくった艇について行けばコース取りできるので、2着になりやすいです。
ボートレースの決まり手「まくり差し」
3コースから6コースでスタートした艇が、第1ターンマークでイン側の数艇を外側から「まくり」、なおかつ先行する艇を内側から「差し」でトップに立ち、そのまま1着でゴールする決まり手を「まくり差し」といいます。
5コースか6コースの艇が1着をとった場合の決まり手は、約5割が「まくり差し」です。
「まくり差し」は「まくり」と「差し」を合わせた難易度が高い決まり手で、他の艇をくぐり抜ける度胸と、一瞬の判断力が尚いっそう必要になります。
「まくり差し」効果的なシチュエーション
・「まくり」と「差し」の、それぞれの重要な要素が必要で、特にモーターの伸び足と出足や、選手の今節の調子良さなどにより、「まくり差し」が決まりやすくなります。5コースか6コースの艇が、そのような状態であれば、高配当の予感が出てきます。
ボートレースの決まり手「抜き」
スタート直後の第1ターンマークで旋回するとき以外で、着順が入れ替わって1着になったときの決まり手を「抜き」といいます。1コースの艇でも希にありますが、基本的には3コースから6コースの艇で発生する決まり手です。
レース期間中に「抜き」が決まった選手は、リプレイ映像を要チェックです。モーターの性能が抜群に高い可能性があるので、以降のレースでは連に絡む可能性を秘めているからです。
ボートレースの決まり手「恵まれ」
ボートレースの「恵まれ」は文字通り、レース展開によって良い方向に恵まれたことで、1着をとった決まり手のことを言います。例えば、先着した艇がスタートの際にフライングや出遅れたときや、転覆や落水して着順が上がるときです。
予想したとおりの着順でなくても、すぐに舟券を捨ててしまうと、実は「恵まれ」により当たりなることもあるので、判定が終わるまでは大事に保管しましょう。
「ツケマイ」とは
「ツケマイ」は、イン側を走向する艇に近づいて、そのまま旋回するときに外側からかわす技で、抜かす際にイン側の艇を自分の引き波にのせて速度を落とさせるメリットがあります。
しかし、デメリットとしては失敗すると接触して転覆する事故にもつながるので、高度な技術をもった一流の選手しかできない技になっています。
以前は、決まり手のひとつとして「ツケマイ」が存在していましたが、現在は「まくり」の亜種として扱われています。
まとめ
「逃げ」が効果的なシチュエーションが多いことで分かる通り、1コースの入着率が高いのはデータとしても出ています。しかし、インコースが不利なシチュエーションで、アウトコースの艇のモーターによってはセオリーが崩されるときがあるので、その場合は高配当のアウトコースの舟券にかけてみるのもボートレースの楽しみのひとつでしょう。
【参考】
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